矯正歯科治療の基礎知識(4)

不正咬合の原因とそれが体に与える影響について



不正咬合の原因

不正咬合は何故起こるのでしょうか?原因について考えてみます。

  • 遺伝によるもの
    親が「出っ歯」だと子供も「出っ歯」になることがある、というように、子供の顔や体格が親に似るのと同様に、歯並びも親からの遺伝を受ける場合があります。
  • 虫歯や歯周病によるもの
    虫歯や歯周病によって永久歯や乳歯を失ってしまうと、その両側の歯が次第に空いたスペースに移動してきたり傾斜してきたりします。乳歯だから、といって虫歯を放置したりすると、その下にある永久歯も影響を受けて、歯並びが悪くなる原因となります。
  • 生活習慣によるもの
    食習慣の欧米化によって、柔らかい食事が増えたことから咬む回数が減り、顎が充分に発達しない状況になることがあります。そうすると、顎の骨の大きさに対して歯の大きさが過大になり歯が並ぶための充分なスペースが得られないため、叢生となるケースがあります。
    また、幼児期の指しゃぶりが「開咬」や「上顎前突」の原因となることもあります。
  • 病気等によるもの
    先天的に歯の本数が足りない場合や、アレルギー性鼻炎等によって鼻呼吸が出来ずに口呼吸をすることによって不正咬合となる場合もあります。

影響(1)虫歯や歯周病になりやすい

悪い歯並びが体に与える影響として、まず考えられることが「虫歯と歯周病」になりやすい、ということです。歯が凸凹に生えていると歯磨きが困難になり、清掃が行き届かず虫歯や歯周病へと発展してしまうケースです。

影響(2)引っ込み思案・消極的に

歯並びの見た目の美しさが損なわれることによって、人前で話したり笑ったりすることに対して抵抗を感じてしまったり、また、発音が不明瞭になってしまうことから人前で話すことに対しても抵抗感が生じてしまうこともあります。
また、顎の骨格や口元の突出等、外見上のコンプレックスからも人前に出たがらないということに繋がるケースもあるようです。

影響(3)消化への影響

「歯」の果たす大きな役割として、食べ物を切ったりすりつぶしたりする、ということがあります。
前歯で咬みきり、奥歯ですりつぶし充分な量の唾液と混ぜることで胃への負担を軽減し消化を助けているのです。歯並びが悪いと、この「咬む」ことが充分にできず、消化不良等を引き起こしますことがあります。

影響(4)その他

中高年の方が歯科矯正治療を行うきっかけとしてあるケースですが、歯を失ってしまったためにブリッジをしたいが、ブリッジをかける歯が傾斜していて、まず矯正治療を行わなくてはならなかった、というようなケースがあります。ブリッジにしろ入れ歯にしろ無くなった歯の代わりの歯を固定するために、その両側の歯を利用しますが、これが適切に利用出来ないケースです。
また、お子さんに多いケースでは、転んだ拍子に歯が口の中を傷つけたり折れたりするケースというのもあります。昔の子供と違って、転んだ時に手が出ない、ということが言われていますが、永久歯が折れたりしたら2度と生えてこないため、上顎前突のケースなどでは特に注意が必要なのではないでしょうか。